D-18PROTO#2635

この頃あたりまでのプロトタイプは、僕が様々な弾き手から得た感想や情報、そして経験からイメージしたアイディアを百瀬さんに伝え、ディスカッションを重ねて作られたものがかなり多く存在します。　

このギターは50年代あたりのマーチン風のニュアンスを求めて製作した試作品で力木の配置などを当時の年代を参考にしています。　一般的なＨＤマホガニーはすっきりと洗練されたイメージでしたが、Ｄ１８の無骨な感触をノンスキャロップで出してみようと試みました。　70’sマーチンがベースでスタートしているヘッドウェイは、前に音が出ていく体感に、独特の力強さと音の分離感が、ファンの心を掴み離さないものだと思いますが、このモデルは枯れた暖かみのあるウッディ感を持ちながらもストレートに音が飛んでいく体感があります。　また、素朴で人間味の伝わるような暖かみが気持ち良いマホガニーボディですが、百瀬さんのギター特有の、研ぎ澄まされ、上品な倍音の伸びがこのモデルには顕著に出ておりますので、日本の曲で3フィンガーやアルペジオを使って弾いてやると、これまたシンプルなトーンに華やかさが入り混じりなんとも心地よく聞こえるはずです。　もちろんコードストロークもザクザク行ける気持ちの良いものです。　指板・ブリッジにエボニーを使わずとも、高域が澄んで甘く伸びるこの感覚はなかなか素敵だと思います。　カタログスペックな材料構成だけではない何かを感じさせる百瀬さんのギターです。